本ページでは、PNF関連の英文抄録やメンバーから情報を紹介させていただきます。
英文献紹介(2020年5月25日更新)
今回ご紹介する論文は、“Effect of submaximal contraction intensity in contract-Relax proprioceptive neuromuscular facilitation stretching”。 2004年にFeland JBとMarin HNにより British Journal of sports Medicineに掲載されたものです。
この中で出てくるコントラクトリラックスはPNFテクニックの一つでホールドリラックスと共に関節可動域の改善や筋緊張の改善のために用いられます。実施方法は、まず目的とする筋を伸ばすよう運動の最終域まで体節を持っていき、そこで目的とする筋の収縮を促すために抵抗をかけます。その収縮を数秒間維持したらリラックスするよう指示し、新しい可動域の終わりまで体節を動かす、この一連の流れをこれ以上新たな可動域が得られないところまで繰り返します。この論文ではコントラクトリラックスに用いられる患者の筋収縮の強度の違いが治療効果に及ぼす影響について述べられています。
Feland とMarin はハムストリングスに柔軟性の低下がある72人の被験者を無作為に3つの収縮強度の治療群(グループ1:最大随意等尺性収縮の20% グループ2:最大随意等尺性収縮の60% グループ3:最大随意等尺性収縮の100%)とコントロール群(ストレッチを行わない)にわけ、ハムストリングの柔軟性の変化の比較を行いました。結果、3つの治療群間のハムストリングスの柔軟性の変化において有意差は認められなかったが、治療群はコントロール群に比べ有意に柔軟性が向上したと報告しています。また著者らは最大随意等尺性収縮の20%や60%の収縮強度でコントラクトリラックスを行うことで、患者にとってより不快なく、強度の筋収縮を行うことにより起こりうるケガのリスクを減らすことが出来るのではないかと提言しています。
この論文では最大収縮の20%以上の筋収縮であればコントラクトリックスによる効果は得られるということが研究結果として挙げられています。これは興味深い研究結果であり私自身もこの論文をリラゼーションテクニックを使用する際の抵抗量における一つの根拠としています。もし興味を持たれましたら一度読んでみられることをお勧めします。今回、論文を紹介させていただくにあたり再度論文を読み直したことで自分の治療に根拠を持つことの重要性を再認識しました。今後も様々な論文を読み、またこのような形で提示させていただけたら幸いです。
特別養護老人ホーム ことぶき
後藤 智志
【資格・認定】
理学療法士
IPNFA認定セラピスト
【所属】
鳥取県PNF勉強会「デール」